(引用開始)
Le parcours du combattant des travailleurs handicapés
Par Caroline Politi, publié le 17/11/2009
今週(11月16日から22日まで)は、障害者採用促進週間が実施されて13年目である。この週間は、障害者がいまだに直面する困難さについて現状を知る良い機会である。
履歴書の山、他の人より意欲をもった求職者、数十人の求人係・・・ どこにでも見られる求人の風景だろうか?まったく違った。13年前から、障害者の社会、職業への参加を促進する団体であるAdapt が、雇用を促進する週間を実施している。実施計画では、障害を持つ求職者および労働者と結びつくために、フランス全国をまわって訪ねる。
障害者の失業率は、今日傷病者の2倍となっている。高学歴をもつ障害者でさえ、仕事を見つけることは茨の道である。パリ弁護士会から免状をあたえられた弁護士Murielle Garnezは、10年以上も失業状態であった。「私は可の上の成績で弁護士の免状を取得し、名の通った弁護士事務所で実地研修を受けたわ。でも私が求職活動を始めてから、一度も採用されることはなかった。雇い主の大部分は、私の障害が顧客に不快な思いをさせるのではないかと思ったのね」と彼女は証言した。この若い娘はフランセイズ・デ・ジュウ(トゥール・ドゥ・フランスのチーム)の法律事務所で仕事を見つけることができたばかりである。しかしAdaptの団体は、現在90,000人近くの障害者が、この2年半以上もの間失業状態にあるを指摘する。
世論を喚起するキャンペーンが数多くなされているが、差別にブレーキをかけるまでにはいたっていない。「障害者と接することに慣れていない人は居心地が悪く感じるのよ。たとえ親切で思いやりのこころをもっていたにしても、私たちにどのように接してよいかわからないと感じるんだわ」とパリの高校の図書館につとめるFloriane Andreは語った。彼女は、平衡障害をもっている。「私の車椅子は、いわば他人との間にある柵なのよ。私のほうに歩いてくるのをためらう人をよく見かけるけど、ちょっと不安になるんでしょうね」と、Helen Davidは語った。彼女は熟練化契約を研究しているコミュニケーション学部の、23歳の学生である。「でもそんなこと、私にはすこしも心の負担にならないわ。そう、それどころか、私が自立できるようになる道具なのよ」と付け加えた。
バリアフリー化が遅れている企業
とはいえ1987年以来、20名以上の従業員を擁する企業は、少なくとも6%の障害者を雇用するように義務付けられた。従わない場合は多額の罰金を科せられる。にもかかわらず大部分の企業が心得違いをしており、障害で苦労している人を雇うよりも罰金を払うほうを選ぶのである。
自分の実力を発揮できないって、とてもフラストレーションがたまるのよ
大部分の大企業が障害者に対応した施設を備えていたとしても、中小の企業はまだ遅れた状態のままである。入り口に勾配をつけるとか、働きやすい職場環境をつくるとか、トイレに手すりをつけるとか・・・そうした努力をしている企業はまれである。車椅子で働ける設備へ投資する資金がないので、体が不自由な労働者を雇うことができないでいる企業も多い。Helen Davidは、それについて辛い経験をした。「私はいくつかの小さな職業紹介所にたくさんの履歴書を送ったわ。そこで、ほぼ50%の割合で、企業が障害者のためのバリアフリーをつくれないでいると聞かされたの。自分の力を発揮できないって、とてもフラストレーションがたまることなのよ」。
それでもまだ、Adaptの代表であるEmmanuel Constantは楽観主義者である。彼が障害者の雇用を推進する週間を始めてから、職業をとりまく環境のなかに小さな革命が起こった。「考え方が変わってきた。企業は、障害者がしばしば非常に意欲を持った労働力の宝庫であるということに気がついたのだ。このことは企業に多くのことをもたらす。以前は車椅子の人が働くということは考えられないことだった。今は次第に受け入れられている」
Par Caroline Politi, publié le 17/11/2009
今週(11月16日から22日まで)は、障害者採用促進週間が実施されて13年目である。この週間は、障害者がいまだに直面する困難さについて現状を知る良い機会である。
履歴書の山、他の人より意欲をもった求職者、数十人の求人係・・・ どこにでも見られる求人の風景だろうか?まったく違った。13年前から、障害者の社会、職業への参加を促進する団体であるAdapt が、雇用を促進する週間を実施している。実施計画では、障害を持つ求職者および労働者と結びつくために、フランス全国をまわって訪ねる。
障害者の失業率は、今日傷病者の2倍となっている。高学歴をもつ障害者でさえ、仕事を見つけることは茨の道である。パリ弁護士会から免状をあたえられた弁護士Murielle Garnezは、10年以上も失業状態であった。「私は可の上の成績で弁護士の免状を取得し、名の通った弁護士事務所で実地研修を受けたわ。でも私が求職活動を始めてから、一度も採用されることはなかった。雇い主の大部分は、私の障害が顧客に不快な思いをさせるのではないかと思ったのね」と彼女は証言した。この若い娘はフランセイズ・デ・ジュウ(トゥール・ドゥ・フランスのチーム)の法律事務所で仕事を見つけることができたばかりである。しかしAdaptの団体は、現在90,000人近くの障害者が、この2年半以上もの間失業状態にあるを指摘する。
世論を喚起するキャンペーンが数多くなされているが、差別にブレーキをかけるまでにはいたっていない。「障害者と接することに慣れていない人は居心地が悪く感じるのよ。たとえ親切で思いやりのこころをもっていたにしても、私たちにどのように接してよいかわからないと感じるんだわ」とパリの高校の図書館につとめるFloriane Andreは語った。彼女は、平衡障害をもっている。「私の車椅子は、いわば他人との間にある柵なのよ。私のほうに歩いてくるのをためらう人をよく見かけるけど、ちょっと不安になるんでしょうね」と、Helen Davidは語った。彼女は熟練化契約を研究しているコミュニケーション学部の、23歳の学生である。「でもそんなこと、私にはすこしも心の負担にならないわ。そう、それどころか、私が自立できるようになる道具なのよ」と付け加えた。
バリアフリー化が遅れている企業
とはいえ1987年以来、20名以上の従業員を擁する企業は、少なくとも6%の障害者を雇用するように義務付けられた。従わない場合は多額の罰金を科せられる。にもかかわらず大部分の企業が心得違いをしており、障害で苦労している人を雇うよりも罰金を払うほうを選ぶのである。
自分の実力を発揮できないって、とてもフラストレーションがたまるのよ
大部分の大企業が障害者に対応した施設を備えていたとしても、中小の企業はまだ遅れた状態のままである。入り口に勾配をつけるとか、働きやすい職場環境をつくるとか、トイレに手すりをつけるとか・・・そうした努力をしている企業はまれである。車椅子で働ける設備へ投資する資金がないので、体が不自由な労働者を雇うことができないでいる企業も多い。Helen Davidは、それについて辛い経験をした。「私はいくつかの小さな職業紹介所にたくさんの履歴書を送ったわ。そこで、ほぼ50%の割合で、企業が障害者のためのバリアフリーをつくれないでいると聞かされたの。自分の力を発揮できないって、とてもフラストレーションがたまることなのよ」。
それでもまだ、Adaptの代表であるEmmanuel Constantは楽観主義者である。彼が障害者の雇用を推進する週間を始めてから、職業をとりまく環境のなかに小さな革命が起こった。「考え方が変わってきた。企業は、障害者がしばしば非常に意欲を持った労働力の宝庫であるということに気がついたのだ。このことは企業に多くのことをもたらす。以前は車椅子の人が働くということは考えられないことだった。今は次第に受け入れられている」
(引用終了)
「普通に接する」ことが何故難しいか。「普通に接しない」ことは何を意味するか。
後者の意味は、明確に「差別」を生むということである。弁護士資格を持ちながら就職先がなかった彼女が、「雇い主の大部分は、私の障害が顧客に不快な思いをさせるのではないかと思ったのね」という事態が生じることは説明を要しない。ところが、話はそこで終わらない。では「差別を生まないためには「普通に接する」ことが必要だと分かった。しかし、そのために私たちは何をする必要があるか、というより、何をする義務があるかという問いである。その問題が仏国ではまだ完全には解決されていないという報告である。
翻って日本国ではどうか。これはあるインターネット放送番組での見聞である。民主党の比較的若手の有力議員が出演していた。福祉関係に関心があると本人は話していた。その彼が「障害を持っている人もできるだけ自由に自分の人生を選択できる社会を作ってあげたい。そのためにスタートラインを揃えてあげる必要がある」と話すのを聞いて、コメンテーターが「福祉政策はお恵みで『やってあげるもの』ではない。当然の『権利』だ」と応答していたのが印象に残っている。これは一議員の一発言ではある。しかし、日本の現状をよく象徴していると思う。
この記事を読んで、他にもいろいろと思いをめぐらした次第。