これってどういうことでしょう。何が優先されて、何がないがしろにされたのしょう? この国の行政への「不安」は募るばかり! 「その針は清潔で安全ですか?」って聞けってか? またしても責任逃れ体質と、「国民の安全」より企業の「効率優先」思考がかいま見える。ほんとうに合理的判断なのか検証したのか? 針の使い回しによって、別の重大な感染症が発生した場合に責任を取れるのか? 官僚にたぶらかされてんじゃないの? 素人丸出しの長妻大臣さんよ! まったく信用できない、と申し上げておこう。
(引用開始)
前厚労相の舛添要一氏(自民)が11月6日の参院予算委員会で、国産の新型インフルエンザワクチンの供給量が厚労相の交代後、1.5倍に増えたことについて、長妻昭厚労相に質問した。これに対し長妻厚労相は、当初の方針では1mlバイアルだけの生産だったが、より生産効率が良い10mlバイアルでも生産するよう方針を変えたためなどと説明。舛添氏は、10mlバイアルでは注射針を刺す回数が増えることなどを踏まえ、安全性に疑問を呈した。
舛添氏はまず、当初は1800万人分としていた国産ワクチンの供給量が、長妻厚労相の就任後に2700万人分に引き上げられたことについて質問。長妻厚労相は、「当初の1800万人分は、すべて1mlバイアルで製造した場合の試算で、ワクチン不足を踏まえ、半分は容器が10倍の大きさで、より製造効率の良い10mlバイアルでも製造することにした」などと答えた。
さらに舛添氏が、「10mlバイアルの安全性に確信があるか」とただすと、長妻厚労相は「1mlバイアルでは2回打てば中が空になり、廃棄することになるが、10mlバイアルなら何人分も注射針を刺して接種することになる」とした上で、▽消毒の徹底▽冷蔵庫での保管▽24時間以内に使わない場合の廃棄―などの安全対策を徹底していると説明。海外でも使用されており、10mlバイアルでも問題はないとの認識を示した。
これに対し舛添氏は、「(10mlバイアルなら)赤ちゃんには50回打てる」とした上で、針の替え忘れや雑菌混入の危険性を指摘。長妻厚労相が、ワクチンを打つ人数に応じて1mlバイアルと10mlバイアルのどちらを供給するか判断していると応じると、舛添氏は「海外では近くに保健所がないなど、確実に50人が接種するような状況でなければ、10mlバイアルは使っていない。10mlバイアルを使っても、3人しか来ずに廃棄することになれば、結局は(接種できる)人数が減る」とした。
長妻厚労相は、国内4メーカーのうち1社は、1mlバイアルで新型インフルエンザワクチンを製造すると、季節性インフルエンザワクチンの製造を中止しなければならなかったと説明。「量を確保したいという思いの中で、ぎりぎりの判断をした」と理解を求めた。
(引用終了)
これに対し、
(引用開始)
(MRIC 臨時 vol 276 「新型インフルエンザワクチンに思うこと」医療ガバナンス学会 (2009年10月 5日 08:12))
森澤雄司
自治医科大学附属病院・感染制御部長、感染症科(兼任)科長、感染免疫学准教授
栃木県新型インフルエンザ対策専門委員、厚生労働大臣政策室アドバイザー
残念至極であり、誤聞であることを願うばかりであるが、やはり新型インフルエンザワクチンが(少なくとも一部は)10-mL バイアルで供給される方針となったらしい。製剤の生産効率を優先したということであり、苦渋の選択であったとは思われるものの、返す返すも残念でならない。
一般の方々にも理解していただく必要があるので、10-mL バイアルを使用するとどのようなことになるのか、少し諄くなるが説明したい。一般的にはインフルエンザワクチンは 0.5 mL を皮下注射(海外では筋肉注射)とすることから、10-mL バイアルは20 人分ということになり、小児では接種量がさらに少ないのでもっと多くの患者に 1 バイアルから投与されることとなる。接種の際の注意事項として季節性インフルエンザワクチンの添付文書に記載されている内容を抜粋すると、a) 接種用器具は、ガンマ線などにより滅菌されたディスポーザブル(使い捨て単)品を用いる。 b) 容器の栓およびその周囲をアルコールで消毒した後、所要量を注射器内に吸引する。雑菌が迷入しないよう注意、また、栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用しない。 c) 注射針の先端が血管内に入っていないことを確認。 d) 注射針および注射筒は、被接種者ごとに取り換える。等とされており、逆に言うとこれらの点に注意しなければ事故を生じる可能性があるということで、バイアルから小分けして接種する際は、(そんなことはあってはならないが)誤って注射針を使いまわしたり、ワクチンを取り分けた注射器が汚染した後に保管されている間に環境由来の雑菌が増殖したりする場合があるかもしれない。先進国で使用されているワクチンは、薬液が出荷されたときにはすでに注射針のついた注射筒に入っていて、"あとは打つだけ" というプレフィルドタイプが少なくない。取り扱いが簡易であるだけでなく、ヒューマンエラーを生じる要素が少ない。しかし、今回の新型インフルエンザワクチンが 10-mLバイアルで供給されるということであれば、これらのエラーの可能性が出てくるかもしれない。医療安全を進める立場でいうならば、物理的にエラーを生じることが出来ない仕組みが重要であり、"個人個人が注意すればよい" というのは対策ではない。これまでわが国ではインフルエンザワクチンは 1-mL バイアルで供給されるのが一般的で、分割して投与する習慣が現場に根付いているが、10-mL バイアルは同じバイアルから分注しなければならない回数はずっと多くなることからエラーを一層に誘発しやすくなる。また、今回のワクチンは数千万人に接種するという話であり、エラーが生じる可能性は数万回に 1 回であっても許容しづらい。
ここまでの記載では一般の方に大きな不安を与えたことと思う。しかし、それでも実は私の意見はより多くの方に新型インフルエンザワクチンを接種していただき、個人の重症化を予防する観点だけでなく、社会防衛を達成できるような高い接種率を達成したいと考えている。であればこそ、今回の 10-mL バイアルというのは残念でならない。現実的な医療安全の考え方で言えば、次に考えられる対策は、被接種者が当事者意識をもって関与してもらうことであり、内心忸怩たるものがあるが、「その針は清潔で安全ですか?」と接種を受ける際に本人から確認していただく必要があるかもしれない。執拗いがそのような事態に陥っているのが残念至極であるけれども。
ちなみに新型インフルエンザワクチン接種は保健所や保健センターだけでなく一般医療機関でも実施される方針である。そのような場合に 10-mL バイアルが使用されるようであれば、予約した方々には必ず時間を守っていただきたい。予定の人数が揃わないためにバイアルの中の残液が廃棄されるような事態になれば、数を揃えるための苦肉の策である 10-mL バイアルが本末転倒に足を引っ張る理由にもなりかねない。
感情的で散文的な物言いに過ぎるのかもしれないが、もし 10-mL バイアルによる供給を決定された方が三日三晩も寝ずに苦しんでこの結論に至ったのであれば止むを得ないかもしれないがけれど、机上の計算に基いた資料だけをみて数字に飛びついたのであれば(そんな気がしてしまうところが寂しいところであるが)、国家の危機的な状況に対応するための計画としては軽率この上なく、杜撰極まると申し上げざる外にない、と個人的には慙愧に耐えない。ちなみに "先進国で唯一" というレッテルは聞き飽きた。単純に本当は "先進国でない" だけではないか。
(引用終了)
さらに、医師で厚生労働医系技官の木村盛世さんが、Twitter と Official Site で発言されてます。
(引用開始)
http://bit.ly/tFFuD 10mlバイアルなんて嘘でしょ~! この筆者は次の会議に上田局長たちと尾身茂氏に囲まれ口封じををさせられたそうだ。
平成の伏魔殿‐厚生労働省‐ (木村盛世オフィシャルWeb Site)
11月6日の参・予算委で舛添議員から新型インフル対策本部に関する言及がありましたが、その発言の背景には厚労省の機能不全があります。(略)
さらに、医師で厚生労働医系技官の木村盛世さんが、Twitter と Official Site で発言されてます。
(引用開始)
http://bit.ly/tFFuD 10mlバイアルなんて嘘でしょ~! この筆者は次の会議に上田局長たちと尾身茂氏に囲まれ口封じををさせられたそうだ。
平成の伏魔殿‐厚生労働省‐ (木村盛世オフィシャルWeb Site)
11月6日の参・予算委で舛添議員から新型インフル対策本部に関する言及がありましたが、その発言の背景には厚労省の機能不全があります。(略)
○法定接種の拡大に否定的(国の責任を回避)したい健康局
←ワクチンの確保、流通をする医薬局(メーカーに言われてどんどん接種を推進したい)
○安全性のデータをたくさんほしがる健康局
← 一定の治験で安全性は大丈夫ということもある医薬局。しかし、安全性にはかなり慎重になっている。
○認可を急がせたい健康局
←審査に慎重な医薬局
○輸入に反対?の医薬局
←供給量は必要な健康局、供給体制は必要な医政局
すなわち船頭多くして、「司令塔」不在なのです。主導権が不明で、消極的権限争いばかりです。国のワクチン買い上げも押し付け合いの結果、血液対策課がおしつけられました。
局が縦割りだからという理由もありますが、今回のような危機管理的な事態に対して、各局の分担体制が機能していないのが最大の問題ではないでしょうか。
2009年11月7日
(引用終了)