みずから進んで抽斎の妻に嫁し、思慮深く、好学心があり、
作中もっとも劇的な場面の一つは、抽斎を脅迫する三人の侍を、
刀の柄に手を掛けて立ち上った三人の客を前に控えて、
五百は僅(わずか)に腰巻一つ身に著けたばかりの裸体であった。
五百は小桶を持ったまま、つと一間に進み入って、
熱湯を浴びた二人が先に、柄に手を掛けた刀をも抜かずに、
これは探偵小説の一場面ではなく、
そぞろ読む中で出合った一場面。
「人は知らないものを深く愛することが出来る、しかし、愛さないものを深く知ることは出来ない」 (from "A Handboolk of Aphorisms" by Simon May)