ジョン・ヒューストンJohn Huston監督「キーラーゴKey Largo」(1948年)を観た。マクスウェル・アンダーソンの同名原作戯曲から脚色した作品。ハンフリー・ボガートHumphrey Bogart、ローレン・バコールLauren Bacall、エドワード・G・ロビンソンEdward G. Robinson出演。
第2次大戦の復員将校フランク・マクラウド(ハンフリー・ボガート)が、フロリダ半島の南の小島キー・ラーゴに、イタリア戦線で失った部下の父、その島でホテルを経営しているテンプル老人(ライオネル・バリモア)と部下の未亡人ノーラ(ローレン・バコール)を訪ねる。部下の戦死の様子を話し家族に悔やみを言うためである。ところがそのホテルには、ギャングの頭目ジョニイ・ロコ(エドワード・G・ロビンスン)の一味が秘密の取引のために滞在していた。折りしも、大型のハリケーンがキーラーゴを襲う。ロッコがハリケーンを怖がっている様子に口ほどにもないと皆に蔑まれる滑稽も映画の薬味。その間のホテル内での殺人などの緊迫した場面がつづき、最後にジョニイ・ロコ一味がフランク・マクラウドの運転するボートでキューバへ逃走しようとするが、フランクの活躍で一味は皆殺しになるという筋書き。引き上げる船を操縦するボガートの満足げな、ちょっと大げさなのではと思えるぐらいのあからさまな笑顔が印象的。
主題とは関係ないが、フィルムの保存状態が素晴らしいのには、いつもながら感心させられる。文化としての映画への尊敬があるのではないかと思ったりする。単なる物量の話ではない。小津監督や溝口監督、山中監督など日本の映画監督の貴重な作品の多くが失われ、保存状態も良くない日本の現状を考えるとまことに羨望の念を禁じえない。
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