「2人の遺体が発見されたのは、奇しくも太宰の誕生日である6月19日のことであった。この日は彼が死の直前に書いた短編「桜桃」にちなんで、桜桃忌(おうとうき)と呼ばれ、墓のある東京都三鷹市の禅林寺には多くの愛好家が訪れる日となっている。太宰治の出身地・青森県金木町でも桜桃忌の行事を行っていたが、生地金木には生誕を祝う祭の方がふさわしいとして、遺族の要望もあり、生誕90周年となる平成11年(1999年)から「太宰治生誕祭」に名称を改めた。」と、wikiにはある。
一週間発見されなかった!行きつけのバーで、椅子の上に足を乗せて、ご機嫌の太宰が想い浮かぶ(撮影/写真家・林忠彦)。
東京新聞「けさのことば」に、「太宰忌やたちまち湿る貰ひ菓子」という、櫂未知子の句が載っていた。
このコラムは歌人の岡井隆の連載で、毎朝まずこのコラムから目を通す私のお気に入り。
梅雨。蒸し暑い一日。時間は3時前後だろうか。おやつに貰いもののクッキー(断然、洋菓子だ!)を手にすると湿ている。口の中で甘くちょっと苦いクッキー、自宅だろうね、珈琲だろうか、紅茶だろうか、一人のような、まさか「愛人」とではあるまいが、笑い顔は浮かばない、薄暗い部屋の中、雨のしとしと降る音、湿気たクッキーを食べている女がいる、などと想像してしまう。
菓子と太宰の取り合わせが、似あわないこともないという、奇妙な苦さ残る。
菓子と太宰の取り合わせが、似あわないこともないという、奇妙な苦さ残る。