ある晴れた日に
(加藤周一著「ある晴れた日に」(岩波現代文庫)には)反戦的な思想を持った、重い結核を患った画家が登場します。この画家は、戦争が終わった時に、天皇制というものをぶっ壊さなければだめだとはっきり口にする人間として描かれています。この画家が言うには、自分の妹は特高警察につかまって、他人には言えないような女としてのひどい拷問を受け、獄中で死んだ。父親は憲兵につきまとわれて、商売がいかなくなって自殺した。そして、この画家は「やつらをいま倒さなければ、やつらはまた武装するだろう」と言うのです。(沢地久枝「加藤周一のこころを継ぐために」P.34)
そのとおり「特高」は生き残り、今も公然と「拷問」を行っていることが明らかになっている。「戦後」に「戦前」はまんまと生き残り、また新たな「戦前」を始めようとしている。